2017年11月12日日曜日

ブーレーズ作曲 - レポン ~6人のソリスト、電子音響装置とアンサンブルのための~

「ブーレーズとのレスポンソリウム」
ピエール・ブーレーズ:レポン~6人のソリスト、電子音響装置とアンサンブルのための~(1981-84/2005/改訂版 日本初演)
を聴いてきました。
2017年11月11日(土) 国立音楽大学講堂大ホール

このブログでは、主に19世紀までのクラシック音楽を聴いている方々にも、ブーレーズ作曲『レポン』が想像ができるような情報も先に書いた後に、上記演奏会の感想を書きます。
まず、以下の2つの点をあらかじめ知って頂くと、この作品がより分かりやすくなります。

●この作品を演奏しているアンサンブル・アンテルコンタンポラン公式のブーレーズ作曲『レポン』の音源を聴く(2015年12月18日に公開されたものが最新)
(マティアス・ピンチャーの指揮です。)

●次に、公式の楽譜のサイトにPDFで見られる以下の楽譜をご覧ください。
Pierre Boulez: Répons
そして、同サイトのThe complete perusal score (PDF-preview)をご覧ください。

楽器の配置が、一般的な室内オーケストラや室内楽の配置とは、極端に異なります。
全176ページ中5ページに指揮者と概略図があります。そして解説が英語で書かれているので、多くの人が読めると思います。
また、6ページに、指揮者、6人のソリスト、電子音響装置とアンサンブルの位地の概略図があります。
そして、音符はどのようになっているかは、13ページから書かれています。
冒頭から1小節ごとに拍子が異なることがお分かりだと思います。
この曲においては、変拍子が特殊なのではなく、「4/4拍子や3/4拍子が続くことが特殊」だと、私個人は解釈しています。
曲の分析に興味がある方は、PDFファイルを一ページづつ見て、「お気に入り」になり、音楽を専門にされる方は、Study Scoreを買われるのもよいと思います。
しかし、私は、多くの方々には、そこまで苦労して、この曲を聴く必要はないと思います。
むしろ、生演奏で、360°の方向から聞こえてくる音の万華鏡を頂くのが最高の楽しみ方ではないかと思っています。

■では、本題の11日の「ブーレーズとのレスポンソリウム」に入ります。

私は1995年ブーレーズ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポラン(以降、EICと省略)の演奏の生演奏を聴いたことがあるので、その点を考慮してお読みください。

結論としては、演奏会に行ってよかったです。

この作品は演奏会を実現すること自体が困難なので、私は演奏のプラス面のみを見ています。
たとえ、マイナス面があったとしても、EICの演奏の水準から極端に劣っているのでなければよいと思います。
20世紀後半以降の複雑な音楽をプロとして普段から演奏しているEICの演奏と比較するのが、野暮なことだと思っています。

今回の「ブーレーズとのレスポンソリウム」の『レポン』では、木管楽器の演奏奏者の数人のパート譜が見える位地で冷静に聴けました。
ブーレーズ&EICの演奏が100点満点とすると、60点を予想していたのですが、少なくとも、60点よりは上だったと感じました。
再度書きますが、これはあくまでブーレーズ&EICの水準から見た数字なので、日本人だけの初演としては、満点に近いと思います。
この作品は、演奏の実現自体が困難な作品なので、今回の演奏会をたたき台として、何度も演奏会を重ねていくうちに、フランスと日本の差を感じない水準まで創りあげるのがよいと、個人的に思います。

あと、今回私の目的としては、木管楽器の演奏の数人の音とパート譜を見ながら、細かい音の流れを把握することでした。
このことが実現して喜ばしく感じています。

以上ですが、「ブーレーズとのレスポンソリウム」の関係者の皆様、実現困難な作品の演奏会を実現して頂きまして、本当にありがとうございました。

2017年11月7日火曜日

リゲティ作曲『ピアノ練習曲集』

リゲティは、「アトモスフェール」「ロンターノ」などの作品で有名ですが、一見、地味ながらも聴き応えがあるピアノの練習曲集(1985年から2001年)を作曲しています。

同作品は第1巻から第3巻から成り、各練習曲は以下のように分けられています。
ピアノ練習曲集 第1巻(第1-6番)
ピアノ練習曲集 第2巻(第7-14番)
ピアノ練習曲集 第3巻(第15-18番)

さらに詳細な説明は以下のサイトがおすすめです。

ピティナ・ピアノホームページ(リゲティ : ピアノ練習曲集)
第1巻
第2巻
第3巻

また、音源に関しては、以下のサイトなどを参考にされるとよいと思います。
(動画右下の「全画面」をクリックすると、楽譜が大きく見えます。戻るときは、ESCキーを押します。)
フランス語のタイトルを知っていたほうが良いので、フランス語のWikipediaにリンクを張りました。
Études pour piano (Ligeti)

2017年11月5日日曜日

新ウィーン楽派のベルク(Berg)を楽しもう!

ベルク(Berg)と言えば、新ウィーン楽派の3人の中では叙情的な作品を作曲することで有名です。

・シェーンベルク(Arnold Schönberg)1874年 - 1951年
・ヴェーベルン《ウェーベルン》(Anton Webern)1883年 - 1945年
・ベルク(Alban Berg)1885年 - 1935年

新ウィーン楽派の3人の音楽は、それぞれ個性があり、私個人はWebernの音楽が好きですが、新ウィーン楽派に慣れていない方には、Schönbergの『浄められた夜』や、Bergの『ヴァイオリン協奏曲』を薦めています。

さて、上記2曲は、後期ロマン派までを愛好する方々には理解しやすいのですが、問題は次の難易度の段階となる曲を理解することです。
私個人は、Webernの『弦楽四重奏のための5つの楽章』作品5が好きなのですが、これは新ウィーン楽派への初心者向きの曲としては難しいかな、と思います。
そこで、Bergの『ルル組曲』が候補の1曲かな、と思います。

『ルル組曲』は、5つの交響的小品から構成されています。
I. Rondo (ロンド)
2. Ostinato (オスティナート)
3. Lied der Lulu (ルルの歌)
4. Variationen (変奏曲)
5. Adagio (アダージョ)

ちょうど、2017年11月5日の午後9時のNHKのEテレの「クラシック音楽館」のN響第1867回 定期公演の模様が放送されるので、それを録画して何度も見る(聴く)のが最も理解しやすいと思います。
N響の解説サイト
楽曲視聴|NHK交響楽団
ベルク (1885~1935) 「ルル」組曲 (約35分)

しかし、『ルル組曲』は新ウィーン楽派の曲の中で比較的理解しやすいとは言え、後期ロマン派と比べると、やはり難解な点があります。
そこで、上記の放送を初めて見る方は、以下の動画などを参考にして、全体の構造を把握しておくことをお薦めします。


I. Rondo (ロンド)


2. Ostinato (オスティナート)

3. Lied der Lulu (ルルの歌)

4. Variationen (変奏曲)

5. Adagio (アダージョ)

補足:
なお、「ルルの歌」の歌詞(ドイツ語)
Wenn sich die Menschen um meinetwillen umgebracht haben で始まる歌詞は、あえて省略しました。
原語の歌詞の検索は、各自の責任でお願いします。